東京高等裁判所 昭和48年(ネ)1939号 判決
控訴人は、本件根抵当権設定契約および連帯保証契約は訴外佐野信子の私文書偽造という犯罪行為によってなされたものであり、右根抵当権設定登記は偽造文書によってなされた絶対無効のものであるから、いずれにせよ追認によって有効になり得ないと主張する。しかしながら本件根抵当権設定契約等が訴外佐野信子の私文書偽造行為にもとづくものであるとしても、代理権を有しない同訴外人がほしいままに控訴人名義で根抵当権設定契約等を締結することは無権代理行為にほかならず、その契約内容は反社会的でないのはもとより公序良俗に反するものではないから、右行為の追認を否定する理由となるものではない。また本件根抵当権設定登記が偽造文書によってされたものであっても、すでに以上のとおり根抵当権設定が有効である以上、右によってなされた登記は実体関係に符合するものであるから、これを右の文書によるものであることを理由として無効とし、これを抹消すべきものとする理はなく、以上のような結果となることと、私文書偽造をした者につき刑事責任を問われることとは別個の問題であるから、両者の間に法的矛盾の生ずる余地はない。
(畔上 岡垣 唐松)